2007/11/22

『E8』

http://wiredvision.jp/news/200711/2007112123.html
より。
Garrett Lisi氏は、思慮深い物理学者として広く認知されている。だが、たいていの物理学者と違って、Lisi氏は大学や研究機関に長く所属した経歴を持たない。Lisi氏はサーファーかつスノーボーダー[生活費は旅行ガイドや建設作業などで稼いでいる]。その彼が、万物の新たな普遍的理論を説く論文を発表した。

予稿の形で発表されたこの論文は物理学界でたちまち話題を呼び、このような抽象的な数学を扱った論文としては珍しく、一般からも大きな注目を集めている。

Lisi氏自身は、重力を含むすべての物理的力は共通の基本原理がさまざまな形で表われたものだということを説明した、物理学の究極の目的とも言える理論を発見したと確信している。

アインシュタイン以来、物理学者たちはこの問題に取り組み続け、相当の成果を上げてきた――ただし、それはある程度までの話だ。複雑な超弦理論は、この問題に対するアプローチだが、宇宙が11次元でないと数学的につじつまが合わないというネックがある。

Lisi氏の理論は、『E8』という複雑な幾何学的図形に基づいている。E8は、248個の点からなる8次元的な数学的パターンで、Lisi氏によれば、宇宙そのものの基本構造を表わしている可能性があるという。つまり、われわれが知覚している無数の異なる粒子や力は、すべてこの奇妙に対称的な形状から生まれたものというわけだ。

この理論の最も興味をそそる点の1つは、来年スイスで運用開始予定のCERN(欧州原子核研究機構)の強力な粒子加速器『大型ハドロンコライダー』(LHC:Large Hadron Collider)を使って、超弦理論よりも簡単に検証できる可能性があることだ。

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