2007/11/02

この方のコラムは面白い。

”中国の造語に「奴隷」という言葉が増えている
言葉で考える社会の変化”


国際  中国  社会 

[白奴] 何らかの奴隷状態になっているホワイトカラーを指し、奴隷主は住宅や自動車、奢侈品であったり、処世や理想などであったりする。

[房奴] 抵当ローンで住宅を購入して、人生の黄金時代を20年から30年にわたって毎年収入の40%から50%、あるいはそれ以上の比率で元利を返済する都市住民で、家庭生活に長期的な圧力をもたらし、正常な消費に影響を受ける。

[車奴] 車を維持するのは大変なのに痩せ我慢して車を買い、生活の質の向上とは聞こえがいいが、実際は飲まず喰わずの生活を送る人。

[節奴] 春節(=旧正月) などの重要な祝日の消費や交際のために、多大な金銭的圧力を受ける人。特に春節は中国数千年の伝統的習俗であり、家族団欒のみならず対外的な社交も大きな要素で、昨今は多大な出費が不可欠となり、資金繰りに苦しむ人が多い。

[壟奴] 独占企業における正職員ではない臨時工や契約工を指す。彼らは頑張って働いてもその賃金は少なく、奴隷のようであるという意味。これとは別に、独占企業の消費者を指す場合もある。すなわち、消費者は企業を選択できず嫌でも独占企業の奴隷にならざるを得ない。

[墓奴] 死者の安息の場所であるはずの墓地が業者の金儲けの場所となったことから、墓地の価格が高騰し、死者のために墓地を購入した結果、経済的負担を背負い込んだ人。つい先頃までは「房奴」になるだけで済んだが、今では墓地の価格高騰で「房奴」だけでなく、「墓奴」にもならねばならないという。

[証奴] 語学や運転免許、果ては弁護士、会計士などの資格証明書を取得すべく資格試験に挑戦を続ける人。証明書を獲得することがすべてで奴隷のようだが、資格を取ったからといって金が儲かるわけでもないし、それが人生のすべてではないはず。
奴隷という言葉を含んだ造語が目立つのは何故?

 上記からは昨今の中国社会の動向が垣間見えるように思える。これら各種の「奴隷」という言葉を国家が大衆に普及している“新語”として選定したということは、それだけ社会に「奴隷」が多数存在していることを意味しているのではないか。中国のインターネットサイトに、“「房奴」+「車奴」+「証奴」+「● 奴」(=クレジットカード奴隷 ●は「上」と「下」を上下に合体させた文字)=「白奴」現代ホワイトカラーの耐え難い現状”という記事が掲載されている。
 
 日本でも無計画な支出を行ってカード地獄やサラ金地獄に陥り、借金の「奴隷」となって自己破産した人の話はよく耳にするが、中国では一定の所得を保証されたホワイトカラーのサラリーマンでないとローンが組めないので、必然的に奴隷の主役は車・住宅・贅沢品を手に入れようとするホワイトカラー(中国語で “白襟”)となる。

* 2007年11月2日 金曜日

* 北村 豊さん

 http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071101/139308/?P=1&ST=sp_china

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