2008/03/25

 "コンピュータ資源が数個のブランドの下に統合されていく傾向とパラレルな話だと思うが、最近気になるのは、優秀なハッカーたちが、次々にグーグルにリクルートされている傾向だ。トラフィックが集まるところには、お金も人も集まる。

 日本でも本国の米国でも、優秀なプログラマがグーグルに移籍したと聞く機会が増えた。Linuxのディストリビューション開発でリーダーを務めていたような人物や、やはりオープンソース系の著名人がグーグルに入ったというように個人単位での話も聞くし、米グーグルで働く日本人10人のうち4人が IPAの未踏ソフトウェア創造事業に採択された人たちであるとか、東京大学の情報工学関連の卒業生も、かなりの割合でグーグルに就職しているとか、そうした話も良く耳にするようになった。

 記者の印象では、グーグルに入ると、それまでネット上で情報やコードを量産してプレゼンスが高かったような人でも、急にパワーダウンしたり、見かけなくなりがちだ。グーグルはブラックホールのように人材を次々と飲み込み、その人たちが発していたオーラさえ漏れないように閉じ込めているのではないか。

 グーグルは秘密主義なのだろうか。そんなことを考えていたが、最近、ある知人に違う見方を教わった。フリーソフトウェアや、日本のいわゆるフリーウェアといった趣味のプログラミング活動は、昼間の仕事に対する不満が原動力になっている、というのだ。例えば、本職では好きでもないプログラミング言語を使って、特におもしろくはないシステムを粛々と作るばかりで、ワクワクするような、知的好奇心を満たすチャレンジが何もないという状況が考えられる。自分の仕事はシステムの一部の歯車でしかないということもあるだろう。そうした不満があるから、たとえ残業して遅く帰ってとしても、夜更けまで趣味のプログラミングに打ち込むことができる。

 ところが、グーグルのようにイノベーションの先端にいる会社では、昼間の仕事が十分にチャレンジングでおもしろいため、何も家に帰ってまでハックしようという気にならない、というのだ。自分の成果が世の中に与えるインパクトという点で考えても、グーグルのような巨大プラットフォームを持つ企業は、大きなやりがいを与えてくれるのだろう。数千人とか、せいぜい数万人を相手に趣味のプログラミングをするよりも、数千万人の生活を一夜で変えることができる課題が目の前にあるなら、それに全力で当たろうと考えるのはもっともなことだからだ。"http://www.atmarkit.co.jp/news/200708/06/weekly.html

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