2008/03/03

野口悠紀雄

””「Gmailを使って、データをネット上に置く」という仕事の進め方について、これまで述べてきた。

 これは、個人の仕事の進め方と関連するだけでなく、PCシステムの設計、組織のあり方、さらには、社会のあり方にも関係する問題である。その意味では、たいへん大きな広がりを持つ問題だ。

 しかし、われわれの考え方や行動様式の惰性、組織のルール、社会的インフラストラクチャなどが、こうした方式への移行を邪魔することがある。少なくとも、これらによって、新しい技術環境の持つ潜在力を十分に活用できない可能性がある。

 第一に問題になるのは、「グーグル・フォビア」(グーグル恐怖症)とでも呼びうるものだ。

 すでに述べたように、ITの専門家ほど、Gmailに対して拒否反応を示す。「プライバシーをグーグルに握られてしまう」と恐れるからだ。こうした考えが「グーグル・フォビア」である。「Gmailを使って、データをネットワークの上に置く」という方法をとれるかどうかは、まず最初に、「グーグル・フォビア」を克服できるかどうかにかかっている。       ・・・中略・・・            ネットワークの利用のためには、社会的なインフラストラクチャの整備も必要である。

 未来社会の1つのモデルとして、いつでもどこでもコンピュータが使える「モバイル・コンピューティング」ということが言われる(「ユビキタス・コンピューティング」と呼ばれることもある)。ところが、日本の現実は、これとはほど遠い。EMOBILEなどのインターネットの無線接続は、大都市では利用可能だが、地方に行くと利用できない。

 先日、ある地方都市に行ったところ、電波がなかった。この地方は、いま高速道路を建設するために、政治家が積極的に動いているところだ。しかし、高速道路を作ったところで、地域が活性化するとはとても思えない。それよりは、インターネットの無線接続ができる環境を整備するほうがずっとコストも安いし、効果的だろうと考えざるをえない。””・・・・以下、
http://diamond.jp/series/noguchi/10015/

0 件のコメント: