2008/03/21

追悼 

”・・・日は海へと傾いていった。人間の外部にある神、天国や地獄といった概念を決して信じなかったクラーク氏は、自分の精神がまもなく旅立ち、目の前のインド洋よりもさらに大きな海へと溶けていくことを知っているのだと、私は理解した。

私たちは、時間が刻々と過ぎていくこと、そしてこれが私たちが共に過ごす最後の瞬間かもしれないことを意識しつつ、無言で座っていた。

すると、クラーク氏は急にテーブルへと手を伸ばし、「君のサングラスをよこしなさい。早く、早く!」と命じた。私は言われたとおりにした。クラーク氏はそれをひっつかむと、自分のサングラスの上に装着した。

「今が」と、彼は背をそらせながら断言した。「太陽の黒点を見るのに一番良い時間帯だ。黒点があれば、の話だが」

もう12年前のことだが、1993年のワイアードのインタビューにおけるクラーク氏の最後の発言を、私ははっきりと憶えている。彼が誇らしげに、上機嫌で披露してくれたのは、自ら選んだ墓碑銘だった。「彼は決して大人にはならなかった――しかし、成長を止めることもなかった」

私は、古くからの友人が、太陽を見つめる様子を眺めていた。太陽の表面を観察する彼は、衰えを知らない好奇心で満ちていた。”
Jeff Greenwald
http://wiredvision.jp/blog/fromwiredblogs/200803/20080321112822.html

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