2008/05/26


”本田技研工業の伝統あるバイク『スーパーカブ』は、内燃機関付きの乗り物の歴史において、類を見ない販売数を記録している。これまでに累計6000万台以上が世界の道路を走っている。

この驚くべき数字は、50年前に本田宗一郎氏が設計した49ccバイクの強さを物語っている。日本が後にバイク産業を支配するようになったのも、スーパーカブの登場がきっかけだ。

スーパーカブはバイクの歴史に転機をもたらした。映画『ワイルドバンチ』に登場するような無法者たちの乗り物だったバイクを、「ホンダのバイクに乗っているのは素敵な人ばかり」(You meet the nicest people on a Honda)というコンセプトによって、郊外で暮らす一般市民のものに変えたのだ。

こうしてバイクは一般市民の手の届く存在になり、世界中の人々が自分の乗り物を手にできるようになった。ホンダによると、4月に6000万台目のスーパーカブが生産ラインを離れ、世に出ていったという。

スーパーカブはそれほど速くもないし、外見もさほど格好がいいわけではない。しかし、基本的な輸送手段にとって必要なものがすべてそろっている。安くて効率的、しかもほぼ不死身だ。

どれだけ嫌がらせをしても、まるで国際自動車連盟(FIA)のMax Mosley会長[性的スキャンダル報道で退陣要求の声があがっている]のように、決してくたばらない。建物の上から投げ落としても、すぐに動き出すほどだ。

バイクのエンジンは2ストロークが主流だった1958年、ホンダは画期的な4ストロークのスーパーカブを発売した。シートの前をまたいで乗れるデザインと、大きなタイヤを採用し、クラッチ操作を不要にしたおかげで、誰でも簡単に乗ることができた。

最近になって電子制御の燃料噴射システムを採用するなど、機構の改良は絶えず行なっており、排気量の大きな車種を異なる名前で出すこともある。しかし、その外見は年月を経てもあまり変化しておらず、燃費も依然としてリットル当たり60キロメートルを上まわっている。[wikipediaによれば30km/h定地走行テスト値は110~116km/L。アクセルの全開や高速での走行などラフな使い方で45~60km/Lくらいとされ、世界中のバイクの中でもっとも燃費が良いバイクとされる。]

スーパーカブは働き者だ。アジアの都市では、荷物や人をいっぱいに積んで走る姿がよく見られる。米国でも新車が約1400ドルと手ごろな価格で手に入り、世界160カ国で乗られている。

累積販売台数はイタリアの人口をも上回る。世界で最も売れた車、トヨタ自動車の『ターセル』さえも3500万台であり、スーパーカブには遠く及ばない。

これだけ偉大なスーパーカブも、米国ではもう販売されていない。『Passport』という車名で売られていた1980年代に、ホンダは米国での販売を終了した。[ユーザーはEbayで入手しているという。]

以下の動画は、バイク好きの俳優で、Ewan McGregor氏とともに「世界一周バイクの旅」をしてその様子をサイト『Long Way Round』で放送しているCharley Boorman氏が、スーパーカブがどれだけの虐待に耐えられるかを実験している内容だ。

[2006年にDiscovery Channnelで放映された番組The Greatest Ever。スーパーカブを史上最強のバイクとして評価している。なお、番組の時点では生産総数は4000万台とされている。”
http://wiredvision.jp/news/200805/2008052623.html

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