2008/10/14




”上の三つの絵は、私がiPhone/iPod touch向けのお絵描きソフトSmallCanvasで描いた絵だが、パッと見てどう感じるだろう。「結構絵が上手な絵じゃないか」と思った人も多いかもしれない。

 実は上の三つの絵は、SmallCanvasの発売に合わせて、私自身がサンプルとして書いたもの。絵心のない私が苦肉の策で作り出したのが、SmallCanvasのundo/redo機能を駆使して写真のトレーシングをするという裏技(アプリの作者が「裏技」を発明してどうするんだ、とうツッコミはなしで^^;)。下に置いた写真をトレースするために、基本的なデッサンがしっかりとし、これだけで「そこそこ見られる絵」になってしまうから不思議だ。

 これで再認識したのは、「絵の上手さ」は、「ちゃんとした構図でデッサンが描けるか」という「テクニック」の部分と、「描き手オリジナルの表現ができるか」という「センス」の部分とから構成されており、私も含めて多くの人は「テクニック」の部分でつまづいてしまい、自分の作品を世の中に発表しようとする意欲を持つことができなかった、ということ。

 せっかく技術がここまで進歩したのだから、「テクニック」の部分はソフトウェアを使って思いっきり補助してしまい、「デッサン力」など持ち合わせていない人たちも、「センス」の部分だけで勝負できるようにすると、もっと創作意欲・発表意欲がわくのではないかというのが私の考えだ。

 特に「センス」の部分になると、「デッサン力」とは異なり絶対的な評価など存在しないのがさらに良い。上のような例だと、「なにを書くのか」「どんな構図で書くのか」「どの線を省くか」「どこにどのくらいの濃さでどんな色を塗るか」「どこまで丁寧に塗りつぶすか」などが、それぞれの作者の持ち味となり、デッサンのように「正しい書き方」などがないのが楽しみ方の自由度を高めるのである。

 「テクニック」の部分は、ソフトウェアの力で思いっきり補助し、ソフトウェアが決して補うことのできない「センス」の分だけで勝負する芸術作品。ある意味、それこそが本当の「アート」じゃないかと思ったりするんだが、いかがだろうか。

【補足】ちなみに、この「センス」の部分に関しては、山田雅夫氏の「スケッチは3分」がおすすめ。”
http://satoshi.blogs.com/life/2008/10/post-2.html

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