2008/07/19

”万人に開かれた時代

 最後に読者に伝えたいことがあります。広く「知的生活」と言いますが、知的生活というのは知的消費と知的生産を含んだ概念です。梅棹忠夫が述べているように、本を読むだけで終わるなら、それは知的消費であり、感想文を書くなりして初めて知的生産になる。その差は突き詰めて言えば「書く」かどうかにある。知的生活を充実させるにあたり、最初の関門は「書く」ことだと思います。

 次の選択肢は、書いたものをオープンにするか、それともクローズにするかということでしょう。かつてならば、広く一般に発表するには出版社を探すなり、それが難しいなら仲間を集めて同人誌を作るなどの、乗り越えなければならない壁がありました。しかし、今はブログなどのサービスを利用して、ウェブ上で手軽に文章を発表できるようになりました。ぜひ文章をオープンにしてみましょう。すると今度はあなたと関心や志向性の近い人たちとの結びつきが生まれ、新たな知の創造へと繋がります。

 つまり、まずは旧来の整理をグーグルに任せ、知的生産のスタートに必要な情報の整理に集中し、知的生活のための時間と「ネタ」を確保しましょう。そして次に文章を書き、ウェブで公開する。すると創発的な、知の共同作業のような状況が生まれる。今度はそれをフィードバックし、新たな知的生産に繋げる。

 こういった知的活動のプロセスが万人に開かれ、個の知的生産能力が大きくパワーアップされたのが今の時代です。グーグルの創業者たちが「世界はより良い場所になってきている」「興奮すべき素晴らしい時代だ」と言うのは、こういう状況を指しているのです。”
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080509/p1
こちらも。
http://www.mochioumeda.com/

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